やりがいのある仕事を続けたい。でも、生活のための収入もしっかり得たい。
この二つの気持ちの間で揺れ動くことは、けして特別な悩みではありません。むしろ、多くの人が同じ場所で立ち止まり、胸の中でため息をついたり、時には自分を責めてしまったりするものです。
まず最初に、あなたが感じている葛藤は「弱さ」ではなく「大切なものを守りたい」という心の深い願いから生まれていることを、どうか安心して受け取ってください。
やりがいを求める自分と、収入を確保したい自分。その両方が共存していることは自然で、矛盾でも何でもありません。
むしろ、人が幸せに生きていくうえで避けて通れない、とても健全なバランスのテーマなのです。
そして、このテーマと真面目に向き合っているあなたは、すでに一歩前に進めています。
やりがいと収入がぶつかってしまう理由
私たちは仕事にやりがいを求めるとき、どうしても「好きなこと」や「興味があること」を軸に考えます。一方で、収入は「社会から求められていること」や「人に役立つこと」によって生まれます。
この二つが最初から一致している人は、実はそこまで多くありません。好きなことがすぐに収入になるとは限らないし、収入が得られる仕事が心からやりがいにつながるとも限りません。
例えば、人と話すのが好きで聞き上手な人がいたとしても、そのままでは職業として成り立たないかもしれません。けれど、その人が接客業や相談業務に関わったとき、初めて「他者から求められるスキル」として収入につながり始めます。
逆に、収入が安定していても、単純作業が続く環境では心がすり減り、「こんなはずじゃなかった」と感じる人もいます。
やりがいは小さな感情の積み重ね
やりがいという言葉は少し大きく聞こえるかもしれませんが、実際の正体はもっと身近で、もっと柔らかなものです。
たとえば、誰かに「助かったよ」と言われた瞬間。自分の工夫が役に立ったときに湧く微笑み。作業に没頭して気づいたら時間が経っていた、あの静かな満足感。
そうした小さな感覚が積み重なったとき、人は「この仕事が好きかもしれない」と気づき始めます。
もし今、やりがいが見えないと感じていても、それはあなたが鈍いわけでも、怠けているわけでもありません。ほとんどの人は、やりがいを“探し出す”のではなく、“気づいていく”ものだからです。
まずは、自分がどんなときに心が軽くなるのか、どんな瞬間に少しだけ誇らしい気持ちになるのか。それを丁寧に感じ取ってあげることが、第一歩になります。
収入とどう重ねていくのか
「やりがいはあるけれど、お金にならない」「収入はあるけれど、やりがいがない」このどちらかで行き詰まってしまった経験は、多くの人が持っています。
しかし、ここで大切なのは「やりがいをそのままお金に変えよう」と焦らないことです。
実際、収入は「誰かが困っていることを解決したとき」に生まれます。つまり、あなたのやりがいが誰かの役に立つ形に育っていくとき、自然と収入にもつながっていくのです。
たとえば、料理が好きな人が友達に作ったレシピを褒められ、それをSNSで紹介するようになり、小さな料理代行やレシピ販売につながることがあります。最初は趣味だったものが、人の役に立つことで仕事へ変化していくのです。
また、写真が趣味の人が地域イベントで写真を撮るようになり、そこから依頼を受けるようになることもあります。
やりがいと収入の両立とは、「二つを同時に完璧に満たす仕事を突然見つけること」ではなく、「やりがいを人の役に立つ形に少しずつ育てていくプロセス」です。
怖さや不安があるのは、前に進んでいる証
やりがいと収入を両立させたいと願うとき、ほとんどの人は不安を感じます。「本当にできるのだろうか」「失敗したらどうしよう」「収入が下がったら生活できない」
こうした不安は、あなたが真剣に自分の未来を大切にしようとしている証拠です。不安は悪者ではありません。あなたの中にある“守りたいもの”を知らせるサインなのです。
そして、立ち止まることもまた、大切な行動のひとつです。焦ったまま走り続けるより、いったん呼吸を整えて、自分の気持ちを確認しながら進むほうが、長く穏やかに続きます。
あなたに必要なのは、“強さ”ではなく“丁寧さ”です。自分を雑に扱わず、ゆっくり進む勇気こそが、両立への道につながっていきます。
参考ページ:あなたの就職・転職活動は生きる目的に沿っているか?
あなたの心に従って進んで大丈夫
今回はまず、心の緊張を少しでもほどき、やりがいと収入の両立が「不可能ではない」という安心感をお届けするための導入をお伝えしました。
あなたのペースはあなたが決めて良い。
この先の選択も、あなたの心に従って進んで大丈夫です。
ここから一緒に、ゆっくり進んでいきましょう。

